1-07管理概要
管理は、プロジェクトの共通事項を設定する、下記の機能があります。
① 設定
② プロジェクトの位置
③ デザインオプション
④ プロジェクトを管理
⑤ フェーズ
⑥ 選択
⑦ 情報
⑧ その他
1. 設定/マテリアル
マテリアルとは
原料、材料、生地、資料等の意味ですが、Revitでは、壁、天井等の材料を指定することができます。「管理/マテリアル」をクリックすると、「マテリアルブラウザ」が表示されます。「プロジェクトマテリアル、すべて」一覧から任意のマテリアルを選択、OKし割り当てます。ここで、マテリアルを選択し右クリックすると複製、名前の変更等ができますので、似通ったマテリアルを作成できます。
マテリアルの情報
・アイディンティティ
記述情報、製品情報、Revit注釈情報の設定がおこなえます。
この情報は、注釈タグでタグ付けを行うことができます。
・グラフィックス
プロジェクトのグラフィックスの表示オプションのシェーディングの表示設定をおこないます。シェーディング表示は比較的に軽い色つきの表示です。モデリングの際に、3Dビューを回転させながらモデルをチェックする際によく使用します。
シェーディング、サーフェイスパターン(前景、背景)、切断パターン(前景、背景)の設定がおこなえます。
サーフェイスとは、材料の表面のことです。
切断パターンは、その部材が断面で表示される、ハッチング表示です。
※マテリアルを設定すれば、色々な図面表現がおこなえます。
・外観
プロジェクトのグラフィックスの表示オプションのリアリスティックの表示設定をおこないます。
情報、一般、反射率、透過、カットアウト、自己照明、バンプ、テイントの機能があります。最低限設定するのは、「一般/イメージ」です。JPG、PNGファイルを呼び込みます。また、色の調整(調合)も行えます。
詳細な設定もできますが、ここでは略しますので、一通り触ってみてください。
- ※自己照明:照明器具の光源が設定されます。
- ※バンプ:レンダリング時の表面の凹凸の設定をおこないます。
- ※マテリアルの保存場所を、しっかり決めておかないと、他のプロジェクト作成時に、パスが通らなくなり、表現されないケースもでてきます。似通った物件のマテリアルホルダーは一緒が便利です。ファイル管理に留意しましょう。
リアリスティック表示は実際のマテリアルの表示です。モデリングの際の、3Dビューを回転させる場合には重たくなりますので、モデリング作業には不向きです。Revitレンダリング時に使用されます。
・マテリアルライブラリ
下のホームマークに、お気に入り、Autodesk、AECマテリアルのライブラリが表示されますが、ここでユーザー固有のマテリアルをライブラリとしてまとめることができます。
この場合においても、前記したようにパスの設定をおこないましょう。
※詳細なオペレーションについては、講習時におこないます。
2. 設定/オブジェクトスタイル
「管理/オブジェクトスタイル」をクリックすると、「オブジェクトスタイル」ダイアログボックスが表示されます。
モデルオブジェクト、注釈オブジェクト、解析オブジェクト、読み込まれたオブジェクト、が設定されています。
モデルオブジェクトの例では、「カテゴリ」「線の太さ(投影、断面)」「線の色」「線種パターン」「マテリアル」が設定されます。+で展開するとサブカテゴリが表示されますが、Revitのシステムですでにあるものは、ユーザーでは削除編集できません。選択するとグレー表示されているカ所がそれに当たります。それ以外は、任意でユーザーが作成することが可能です。
差し当たって、扱う必要はあまりありません。
線の太さ等は、ユーザーで変更可能です。必要であれば、図面の表示状態をコントロールするために変更をおこなうことになります。
線の設定等は、「設定/その他設定」で設定します。(後に解説)
3. スナップ
カーソルスナップの設定をおこないます。事前値でもほとんど支障がありませんが、カスタマイズが必要であれば、ここで設定します。
4. プロジェクト情報
プロジェクト情報は、システムファミリです。タイプを作成することはできません。
利用法を解説していきますが、各機能は関連性があるため、ランダムな解説になりますが、混乱しないように、意味を理解する必要があります。
既存のパラメータだけでは、設計する上で足らないと思います。
たとえば、建具表とかの仕様の欄が足らないので増やし、建具ファミリのタイププロパティのタイプパラメータの識別情報を設定し、仕様の書込みを自動化するなんてことも、カスタマイズ次第で簡単にできるようになります。
- 図面枠、図面リストの情報表示
- 建築概要書の情報をパラメータにて表示(クライアント名、設計者等、面積等の表示)
- 外部仕上げ表、内部仕上げ表の情報をパラメータにて各図面にタグ(符号付)で表示する。(各伏図、立面図、矩計図、展開図、詳細図等)
- 構図の情報をパラメータにて表示
- アセンブリ機能で詳細図を書く場合の仕上げ仕様情報をパラメータにて表示する方法
(アセンブリは、RevitLTの機能にはありません。)
プロジェクト情報
「メインメニュー」-「管理」-「プロジェクト情報」をクリックすると、「プロジェクトのプロパティ」ダイアログBOXがパラメータと値の欄が表示されます。その下にカテゴリ別の「識別情報」があり、その下に設定したパラメータが表示され、「値」の欄に、情報(値)を入力していきます。
後先になりますが、下記で説明するプロジェクトパラメータと共有パラメータを先に設定する必要があります。どのように利用するか、プロジェクト情報の画面説明をします。
下図はカテゴリの「識別情報」を非表示(その欄の右端にある矢印をクリックする)しています。
このように、パラメータが多くなるとガイアログがタテに長くなりますので、ここで表示・非表示をコントロールします。
新規のプロジェクト情報は下記のようになっています。
「プロジェクトのプロパティ」-「ファミリ」には「システムファミリ:プロジェクト情報」となっており、「タイプ」、「ロード」、「タイプを編集」がグレー表示となっており編集できない状態になっています。これは、システムファミリでRevitの初期設定状態と考えたほうがわかりやすいと思います。パラメータには、初期状態で図のような扱えないパラメータがすでに設定されています。「値」は当然入力できます。
では、各パラメータはどのように設定するのでしょうか。
プロジェクトパラメータ
同じく、「管理」-「プロジェクトパラメータ」をクリックすると、プロジェクトパラメータのダイアログBOXが表示されます。プロジェクトパラメータとは、このプロジェクトだけに設定されたパラメータです。他のプロジェクト、ファミリには共有(反映)することができません。共有するためには、共有パラメータを使用します。
共有パラメータ
「管理」-「共有パラメータ」をクリックすると、「共有パラメータの編集」BOXが表示されます。
「共有パラメータの編集」では、「共有パラメータファイル(S):」、「パラメータグループ(G):」、「パラメータ(P):」とそれに付随するボタンが用意されています。
(1)パラメータグループの作成
右下の「グループ」-「新規作成」でグループ名を付けて作成します。作成するとパラメータグループ(G)下のBOXに表示されるようになります。
クライアント情報、設計情報、建築概要、外部仕上げ、内部仕上げ、建具、面積、外構、構造、給排水衛生設備、空調換気設備、電気設備等々、あくまでも参考程度ですが、プロジェクトそれぞれのカテゴリを設定し作成するといいでしょう。
(2)共有パラメータファイルの作成
「パラメータグループ」-「パラメータ」を設定した上で、固有の共有パラメータファイルの作成をおこないます。
「作成」をクリックし、適宜フォルダーに作成・保存します。(参考:一般事務所プロジェクト-共有パラメータ.txt)
このように、プロジェクトタイプごとに既存の共有パラメータファイルを編集し保存しておくと、次回の物件で「参照」から選択、ロードし使用するようにします。
初めから、パラメータグループのカテゴリ分けや、パラメータの設定がしっかりしたカテゴリになっているとは限りませんので、どんなパラメータを作成したら良いのか充分検討した上で取り組むようにします。一度設定すると、ファミリ枠にしろ、建具ファミリにしろ、後からいじくるのは大変な手間を要しますので、ここまで作り込むめば、そのプロジェクトはそのまま使用したほうが得策と思います。
次回にカスタマイズして、共有パラメータファイルをバージョンアップ・ファイル名を変えて保存すれば、徐々にしっかりした内容になります。
(3)パラメータの編集(設定)
パラメータの「新規作成(N)」をクリックすると、パラメータプロパティBOXが表示されます。名称部分に「パラメータ」の名前を入力、「専門分野」からカテゴリを選択、「パラメータタイプ」からタイプを選択し、「OK」をクリックします。
プロジェクトパラメータをその都度設定することもできますが、後のプロジェクトですぐに使えない、管理がしにくい等の問題がありますので、私は共有パラメータを構築することをお勧めします。
プロジェクトパラメータの設定
設定した共有パラメータで、ようやくプロジェクト情報に表示する準備ができました。「管理」-「プロジェクトパラメータ」をクリックし、プロジェクトパラメータを表示させます。「追加」クリックで「パラメータプロパティ」が表示されますので、共有パラメータにチェックを入れ、選択ボタンをクリックします。
「共有パラメータ」の選択BOXが表示されます。(前の「共有パラメータの編集」のBOXとは異なっているのに注意してください。(混乱しないように)
目的のパラメータグループを(下図ではクライアント情報の部分)から選択し、目的のパラメータ(クライアント本社)を選択し「OK」をクリックします。
「パラメータプロパティ」に戻りますので、「インスタンス」をチェックし、カテゴリの「プロジェクト情報」、にチェックを入れ、「パラメータグループ」より「その他」を選択します。
パラメータデータの名前には、先ほど選択したパラメータがグレー表示されています。
「OK」をクリックし、「プロジェクトパラメータ」が表示されますので、「OK」をクリックして終了します。
「パラメータグループ」で「その他」を選びましたが、「プロジェクト情報」のパラメータのグループ部分を指します。「プロジェクト情報」を表示してください。上図の「マテリアルと仕上げ、エネルギー解析、その他欄の表示」の、その他の欄にパラメータの「クライアント本社」が表示されています。「値」欄に文字を入力しこれを利用していきます。「文字」を選択した場合は、「プロジェクト情報」のパラメータのグループ部分に「文字」のグループが作成されます。整数・実数・文字・・・等とは違います。あくまでもグループの名称です。勘違いしやすいところです。
表示させたい、グループを選び、パラメータを表示するという具合になります。カテゴリは表示させる場所と理解してください。他のカテゴリにチェックを入れ、数ヶ所にパラメータを表示させることも可能です。しかし、紛らわしくなりますので、特別の場合以外には、あまりお勧めしません。
特記事項
- ※タイプとインスタンスの意味は、
タイプ:一つの事象のくくりを命名して作成したもので、いろいろなタイプを作成できる。
インスタンス:パラメータの値は、変数となり、その都度値が変わることができる。例として、ドアファミリの幅等をインスタンスにすると、名前は同じでも異なるものが、いくつもできてしまい識別できなくなる。インスタンスとするのは、可変可能な事象とすること。 - ※プロジェクトパラメータ:集計表には表示されますが、タグには表示されません。
- ※共有パラメータ:複数のプロジェクトやファミリで共有とODBCへの書き出しができ、集計表やタグに表示されます。
いろんなカテゴリを選択して、どこに表示されるか試してみるのも良い方法だと思います。意外とRevitの成り立ちが理解できるかもしれません。
5. グローバルパラメータ
プロジェクトのみで、使用したい時に使うパラメータです。
プロジェクトにおいて、プロジェクトパラメータ、共有パラメータに無く、頻繁に使用する必要がある場合、使い捨て用のパラメータです。
実施において追々、出てくるかもしれませんので、その時にでも解説します。
6. プロジェクト標準を転送
プロジェクトの作成中に、他のプロジェクトを開いている時、他のプロジェクトのデータをコピーします。同じようなプロジェクトのデータを挿入し使用することができます。
実施において追々、出てくるかもしれませんので、その時にでも解説します。
7. 未使用の項目を削除
作成する際に、DWGデータを挿入したり、転送したりすると、いろんなデータ、情報がプロジェクトの中に取り込まれます。例えば、DWGデータの線種とかは、Revitで設定している線種とは異なります。作業中に使わないデータが表示されて選択する際に、多すぎて面倒なことがあります。削除して使いやすくします。
8. プロジェクトで使う単位設定
単位の設定をおこないます。
専門分野ごとに設定をおこなうことができます。専門分野の右をクリックすると、専門分野が表示されますので、クリックします。
専門分野は、共通、構造、HVAC、電気、配管、エネルギーの分野です。
共通の長さをクリックすると、ダイアログボックスが表示されますので、各項目を選択して設定します。
下図は、HVAC/冷暖房負荷をクリックしたところです。冷暖房負荷に関する単位設定をおこないます。
9. 構造設定
10. MEP設定
11. パネル集計表テンプレート
※1-9、~1-11、に関しては、今回講習では解説できません。MEP設定は意匠にも必要なので、後に、簡単に解説します。
12. その他(意外と重要)
「管理/その他設定」下記の設定があります。
前記した「表示/グラフィックスの上書き」で出てきた「線の太さ」等に関連して、表示の基本的な部分です。
当面は、主な設定として、「線種」、「線の太さ」、「線種パターン」が、必修事項です。
その他は、表示のテクニックのようなものです。追々、設定できるようになれば、十分です。
下図は、弊社が設定した基本的な線種です。
弊社が、命名したのですが、「システム線分」と「拡張線分」とわかりやすく分類しています。
「システム線分」は、16種類で、ユーザーは削除できません。太さ、色等は変更できます。
「拡張線分」は独自に設定した線分ですが、実線/細線、中線、太線はシステム線分と、同じなので、システム線分を使用するように設定しました。それも含めて、25種類です。
他にも、規定値の線種がありますが、そのまま残しております。
前にも述べましたが、作業を行うと、CADの線種がプロジェクトに、たくさん入ってきて、選択しづらくなります。そこで、この設定を基本的に守りながら、不要な線種は削除します。
削除しても、プロジェクトから消えて無くなる訳ではありません。Revitは、適当に線種を変換してくれます。
① 線種
下図が、設定した線種です。
ここで、特記すべきは、カテゴリにある規定値の〈***〉で囲まれた線種です。これは、Revitシステムのもので、ユーザーにより変更はできません。その部分を選択すると、右下にある「サブカテゴリを修正」/「削除」と「名前の変更」部分がグレー表示されているのが判ります。これは扱えないということです。他にも、前記した「システム線分」も扱えないことが判ります。
それ以外は、ユーザーが設定できる部分です。
線種には、それぞれ、「線の太さ」「線の色」「線種パターン」が設定されます。それは任意に決めることができます。線種パターンの名前は任意です。弊社は、線種パターン名の前頭に「P」を付けて区別できるように、ネーミングしております。
② 線の太さ
下図は、「線の太さ」設定です。コメントのような意味があります。
例えば、S=1/200の表示と、S=1/50とでは、線の太さの見え方が異なります。S=1/200などのスケールで、線の太さを太くすると、黒塗潰されて図形が見えなくなります。
このようなコントロールを設定するわけです。
1~16は、ペンの番号のようなものです。番号を指定します。
③ 線種パターン
線種パターンの設定ダイアログボックスです。「新規作成」「編集」「削除」「名前変更」がおこなえます。線種パターンは、AutoCADの線種と似ています。
④ その他
その他は、必要に応じて見てみましょう。差し当たって上記を網羅すれば、実施設計には支障ありません。AutoCADと使用されていれば、理解できると思います。